〜寺院におけるパソコン利用と課題〜

※おことわり:この文章は平成13年の内容です。ブロードバンドの普及など、変化の激しいインターネットの世界ですので、その辺はご理解の上、お読みください。By Webmaster


■IT時代の到来
"情報は行動の源である"
といわれます。とても的を得ているように思います。また、"情報は変化する要素を常に持っている"ということも言えるでしょう。日常には、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、ビデオ、CDレコード、郵便、電話、携帯電話、ファックス、インターネット、電子メールなど、身のまわりには実にたくさんの情報メディア(媒体=伝達の仲立ちをするもの)があります。文字や紙の発明により情報は時を越えはじめ、印刷技術の発明は同じ知識の共有をもたらしました。今日に至るまでの情報機器の発達は、人と人との会話による直接的意志疎通に近づけようとするために、人類が取り組んできた歴史でもあるわけです。
IT(※1情報技術)革命という言葉がテレビ・ラジオ・新聞・雑誌・インターネットのホームページ等、あらゆるメディアで取り上げられています。最新ニュース、情報検索、買い物(オンラインショッピング)など、我々はインターネットで、居ながらにして様々な情報を得ることができたり、取引することができます。最近ではMP3に代表される音楽データをダウンロード(※2)して、とても小さな再生機器で、音楽を携帯して楽しむ姿も見受けられます。
さらにパソコンに加えて、インターネットに接続してE-mailやWebブラウジング(ホームページ閲覧)できる携帯電話の普及はめざましいものがあり、携帯電話を駆使する"親指族"なる流行語を生み出しました。一方、離れた人と会話するための電話までも、高速デジタル回線を利用した"インターネット電話"と言われるものが登場し、特に海外など遠距離通話の場合は従来よりも大幅に通信費を抑えることができるので注目を集めています。
日本では、米国や諸外国に遅れをとらじと、政府が「IT戦略会議」を組織して旗振り役となり、各地方自治体でも積極的にIT政策が展開されていることはご高承のことと思います(※3)。政府のIT戦略会議が、平成12年11月27日に取りまとめた「IT基本戦略」の四つの柱を以下に示しましょう。

(1)すべての国民がインターネットに安価で接続できる環境の整備
(2)誰もが安心して電子商取引に参加できる制度基盤と市場ルールの整備
(3)行政(国・地方団体)情報をインターネット公開し、各種書類のやりとりを電子化する
(4)国民の電子文書取扱能力の向上および技術指導者の育成

最近では、IT戦略半部から平成13年3月に「子供からお年寄りまでがその恩恵を享受できるような日本型IT社会の実現」をうたった"e-Japan構想"(高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する重点計画)が発表されています。
一方、平成12年11月29日に『高度情報通信ネットワーク社会形成基本法』、いわゆる『IT基本法』が成立しました(平成13年1月6日施行)。続いて『電子署名及び認証業務に関する法律』が平成13年4月1日から施行され、この法律によって電子署名が署名捺印と同等の法的効力を持つようになったわけです。
そして文部省(現在は文部科学省)は、2005年までに全学校の全教室にパソコンとプロジェクターを設置し、校内LAN(※4)から生徒がどこでもインターネットを使えるようにすること、教職員のIT研修など、「ミレニアム・プロジェクュト」と称したIT教育を推進しています。
平成13年度は、平成12年11月に補正予算を編成して545億円を投入し、パソコン初心者対象の「IT講習会」が各自治体で花盛りです。これは自治体が学校や公民館などの公共施設を使って20歳以上の住民に対して、マウスやキーボードの基本操作からWebサイトの閲覧、電子メール送受信などの基本操作習得を目的に、12時間程度のカリキュラムで実施されているものです。受講料も無料の場合が多く、テキスト代(実費)で受講できるという大変お得な講習です。
進化論を唱えたダーウィンは著書の『種の起源』において、「最も強いもの、賢いものが生き残るのではない。最も変化に敏感なものが生き残る」と書いています。IT革命が近代産業革命に匹敵する大きな変化としたならば、これら政府や自治体の政策、一般企業の取り組みは、世界規模で進行しているIT時代の劇的変化を見据え、我々日本人が対応するための基盤整備を主眼に取り組まれているわけです。そうした変化の波は一般生活者にも波及しつつあり、決して無視できない状況といっても過言ではないでしょう。
ということは、これからの世代は皆、義務教育において基礎的情報技術を学習し、大人になっていくわけですから、現在よりはるかに大勢の人々が、インターネットに代表される情報技術ツールを使うことが当たり前となり、今以上にインターネットが日常生活に密着した必須アイテムとなることは明白です。
世の中は複雑化の一途をたどっていますが、我々は現代の情報化社会の一員にほかなりません。寺院活動において檀信徒の皆様、有縁の皆様と接し、法務諸務に従事しているわけですが、興味のあるご住職でないと、なかなかパソコンやインターネットを利用していないというのが現状かもしれません。パソコンやインターネットには触れずとも、住職や寺族もテレビを見たり、音楽を聴いたり、電話をかけたり、様々なメディアの恩恵に預かってるはずです。
「IT革命」に象徴される昨今の世間的流れを謙虚に受け止め、我々宗教者、仏教界においても多少の緊張感を持ちながら、ITを有効な方便として活用していければ、大変素晴らしいことと思います。
21世紀は、膨大な量の情報から、必要かつ有益なものをいかに取捨選択(検索・分類・分析・活用)できるかが問われる時代といっていいでしょう。
もちろん、いくら"IT革命"といっても、良いことばかりではないと思います。
パソコンやファミコンが原因で視力低下。特に若い世代では漢字を読めるが書けないという現象。バーチァルな世界であるが故の弊害で直接的体験が乏しい。インターネットのおける匿名性の問題。インターネットオークション詐欺事件に象徴される取引上でのトラブル。クレジットカード情報の漏洩で身に覚えのない請求被害。またデジタルデバイド(※5)といわれる情報格差の問題、設備や通信にかかる費用の捻出など、マイナス的要素も見逃せません。
匿名性、広域性、非対面性という特徴がそのまま良くない方向に使われるということは、利用者のモラル・良心の欠如と言わざるをえません。利用者側もインターネットは自己責任意識をしっかり持つということを忘れてはならないでしょう。
"IT革命"や"IT"という言葉は広く認知されるようなりましたが、IT化そのものが目的ではなく、我々の生活を豊かにする、経済活動の基盤とする、といったための手段であることを忘れてはならないでしょう。つまり、"仏つくって魂入れず"になっては駄目だということです。

■お寺とパソコン
パソコンの一般世帯普及率は、総務庁統計局が平成12年7月に発表した「平成11年全国消費実態調査」では、平成11(1999)年11月調査時で37.7%でした。約1年半後の現在ではもっと高い普及率のはずです。およそ45〜50%くらいでしょうか。
それでは寺院においてはどれくらい普及しているでしょうか。残念ながらこの数値よりは低いと予想せざるを得ません(少なくとも住職の利用率は世帯普及率よりは低い?)。寺院は元来、教義的・法儀的に伝統伝承を重視し(無論これは正しいことです)、従来の手法に頼りがちで、急には最新のものに対応しづらい側面があるでしょう。また、一般的寺院の活動は、その寺院単位が基本で、住職中心に運営されていることが多いでしょう。その中心たる住職の平均年齢も50歳くらいでしょうか?(推測)。
一つの判断材料として以下を考えてみると興味深いと思います。
(1)住職が兼職して勤めているか、それとも寺院専従であるか
(2)寺族の誰かが会社勤めであるか。寺族とは寺庭婦人、住職の家族。
(3)寺族中、特に子供が学校でのIT教育に感化されているか
これによってパソコンの普及率が違ってくるのではないかと思われます。寺の外で仕事をしていると、コンピュータは必須であり、それら仕事上での経験や外的情報の刺激がありますので、寺院活動や日常生活に応用しない手はないと考えるでしょう。また、寺院内で誰かがパソコンを使っていろいろなことをしていたら、関心を持つようになります。住職自身がパソコンを操作しなくとも、寺族が代わりにワープロや年賀状の宛名面&裏面を作成してあげるということはよくある話ではないでしょうか。そして、住職が寺族、特に子供のためにパソコンを購入するということも一つのきっかけになっていると思います。つまり、このような環境の寺院では、パソコンを購入して利用している可能性がグッと高くなるわけです。
パソコンは使い方次第で大変便利で強力な道具であり、ITは人と人を結び、世界を広げてくれる技術です。もうすでに我々一般の人たちが、ブロードバンド(高速回線※6)を使って24時間、インターネットに常時接続できる時代に突入しつつあります。身近な高速回線ではケーブルテレビ会社のインターネットやNTTのフレッツADSLなどが実用・普及しています。
ここで、お寺でのパソコンの活用を考えてみましょう。
以前はパソコンソフトの三種の神器といえば、ワープロ、表計算、データベースでしたが、インターネットの普及により、パソコンとインターネットはシームレスな関係となり、これを抜きに現在のパソコンは語れません。寺院での一般的利用方法を以下に箇条書きでまとめてみました。ただし、何でもかんでもパソコンで処理することを勧めているのではありません。利用者の判断に委ねられていますから目的・内容や作業効率に応じて臨機応変にすればよいでしょう。なお、出力機のプリンタは持っているという前提とします。それぞれの場面で必要に応じて印刷すればよいでしょう。きれいにかつ大量に印刷することができます。

(1)文書作成。伝道資料や通信・案内文をワープロソフトで作成し、印刷する。寺報(広報)の発行もできる。書体(フォント)や飾りも豊富に用意されている。
(2)表計算。各種計算処理やグラフ化による統計分析、簡易データベースとしての表計算ソフトの利用。
(3)データベース処理。データ資産を構築するデータベースソフトの利用。年賀状ソフト、業務用として販売されている寺院管理ソフト(住所録・檀信徒管理や過去帳管理・会計処理)はここに分類できる。
(4)年賀状ソフト。ソフトのジャンル的にはデータベースに属する。毛筆体で葉書から封筒、宛名ラベルまで宛名発行が自由自在。たかが年賀状ソフトとあなどるなかれ。年賀状の時だけでなく一年を通じて使えるイラストも充実。全国41万件の電話帳データベースを入力に使えたり、名刺が簡単にできたり、携帯電話のメモリ編集に対応など、付加機能が豊富である。
(5)スキャナやデジタルカメラの活用。スキャナ(イメージスキャナ)は、パソコンに画像を取り込む装置。汎用性があるのはフラットベッドスキャナと呼ばれるタイプで、紙の原稿ならば大概対応可能。スキャナで読みとった文章をOCRソフトでテキストファイルに変換する活用。宝満寺ホームページ(大分)では副住職が写仏を公開しているように、手書きのものもデジタル化できる。また、デジタルカメラは寺院行事等の記録、寺報の材料収集に利用できる。なお、画像はワープロ文書等に貼り付けることもでき、文字だけの文章より、より視覚的にアピールできる。
(6)インターネットを利用した情報検索と収集。キーワードを指定してYahoo!等の検索エンジンで探せば、該当するホームページ一覧が表示され、ここから該当ページにリンクしてあらゆることを調べられる。無論、ホームページに表示されている各種データ類(文書・写真・イラスト・音楽・動画)は自分のパソコンに保存できる(実際は自分のパソコン内に取り込まれて表示されている。なお著作権に注意)。また、掲示板に投稿や質問をすると、管理者や参加者が良心的に答えてくれることが多い。ただし文字でのやりとりなので、微妙なニュアンスに注意して的確に質問した方がよい。
(7)電子データ化された経典。天台宗では、天台宗典編纂所(滋賀県大津市)から『天台CD-1』『天台CD-2』という電子経典がCD-ROMで出版されている。『法華経』『天台三大部』といった主要な天台関係の経典データベースを収録し、高い評価を得ている。そして大正新脩大藏經テキストデータベースでは仏教経典データが公開、ダウンロードできるようになっている。また(6)とも相関するが、インターネット上には、寺院関係ホームページを中心に、実に様々な布教・教義資料が掲載されている。それらの多くは開設者の好意により無償で閲覧・入手できることが多い。
(8)電子メールのやりとり。一対一が基本であるが、同報機能を使えば、複数のメールアドレスに一斉送信も可能。端的にいうと文通。これについては携帯電話メールの普及を含む。
(9)メールマガジンの購読。これは定期的に電子メールとして送られてくる。各種案内、学術や趣味といった特定の分野に関するもの、販売促進メールなど、様々なものがある。"まぐまぐ"が有名で、これらはほとんど無料となっている。また一隅を照らす運動総本部では、宗祖の教えを理解し、日常に生かすことを目的に、祖師の名言を意訳して毎週配信されており、携帯電話メールで受信可能。なおメールマガジンの配信は小泉首相の施政方針演説でも出てきました。
(10)ソフトウエアのダウンロード。体験版やシェアウエア・フリーウエア(※7)。寺院関係に役立つフリーソフトでは、年忌表を自動で計算して印刷できるフリーソフト(真言宗豊山派東谷寺HP)や梵字フォント(※8)を提供しているホームページもある。
(11)ホームページの開設。寺院紹介、行事案内、法話、教義解説、報告など工夫次第でいろいろな情報を世界に向けて発信できる。掲示板を設置すれば、不特定多数の人々とネット上で意見交換や質疑応答も可能。ある話題をホームページに掲載したことで、世間的に多大な影響を及ぼすことは決して珍しくない。ホームページの存在価値は益々重要度を増している。
(12)その他。インターネットラジオ、高速回線による映像配信の利用など。

当然、お寺には住職はもちろん寺族がおり、上記のようなソフト面での利用と同時に、プリンタ、デジカメ、スキャナ、CD-R、デジタルビデオ(ビデオ編集)などの周辺機器を揃え、各自が自由に活用されていることでしょう。一方、インターネット利用では、各自の趣味や必要に応じて情報収集されているのではないかと思います。最近ではパソコンの画面でテレビを観たり、録画できる機能を搭載したモデルもあります。
ワープロ専用機とパソコン
〜一粒で二度おいしい!?〜
日本語ワードプロセッサー、略してワープロ。パーソナルコンピューター、略してパソコン。世界でも類を見ないワープロ専用機とパソコンとの二極化という独自の文化を形成していた日本ですが、いよいよ主流は決したようです。電器店の売り場を見たら一目瞭然ですね。
主要電機メーカーでは、ワープロ専用機撤退の波が進行中です。まず、東芝が平成12(2000)年6月に日本語ワープロ事業から撤退を決めました。東芝は1978年に日本で最初にワープロ(JW-10)を商品化したワープロ専用機の老舗。
続いてリコーが、また今年(平成13年)に入ると、NEC、松下電器産業、キャノン、富士通と次々に撤退を表明しました。ただし、撤退といっても修理や保守、消耗品の供給は当面続けられますのでどうぞご安心を。
昨今のパソコン普及&低価格化などによって、ワープロの売れ行きが激減したためだそうで、平成11(1999)年には家庭用ワープロについて新製品の投入も激減していました。
これはワードや一太郎などのパソコン用ワープロソフトが進化して、パソコン上で編集画面表示と全く同じ印刷結果が得られる使い勝手の良さがパソコンに移行した決定的要因といわれ、企業のOA化で顕著にパソコンでワープロ業務をするようになりました。そして最近のワープロ専用機もインターネットや電子メール機能を付けていますが、パソコンの方がやはり便利です。
また、ワープロ専用機は多少のオプション類は用意されていますが、基本的に拡張ということがあまり考えられていません。つまり、機械的にも中味のシステム的にも購入時の状態のままで、パソコンのようにソフトのバージョンアップや機械的拡張が事実上できません。パソコンは「一粒で二度おいしい」といいますか、一台に多種多彩なソフトを組み込むことができ、使うことが可能です(無論、PC一台につきオペレータは一人なので各ソフトの操作は瞬間的には単体ですが、複数のソフトを起動&連携しながら使うことができるのもパソコンの特徴です)。
もちろん、まだまだ十分使えるものを大切に使うことは大事なことで、現在使っている機能で満足されているのなら無理に買い換えることを強要しようとするものではありません。ただ、故障や寿命等で買い換えるときは是非ともパソコンにしていただきたいと思います(たぶんそうなるとは思いますが)。
それでは、今までワープロ専用機で蓄積してきた文書データはパソコンに移行できないのか!?とお考えでしょう。これには大きく二つの方法があると思います。
(1)ワープロ専用機で、テキストデータに変換する
罫線やワープロ専用機で施した装飾等は駄目ですが、文書自体は100%(外字は除く)OKです。テキストファイルというのは「パソコンに入力された文字だけの文章」のことで、Windowsパソコンなら、ファイル名の後に「.txt」が付く形式。なお、この機能がないワープロ専用機は(2)の方法となります。
(2)変換ソフトを購入する
コンバートスター(システムポート)やリッチテキストコンバータ(アンテナハウス)が有名です。ワープロ専用機で使っていたフロッピーディスク(変換元)からそのまま変換OKです。
さて、パソコンを新規購入または乗り換えたとして、最初の1年目がとても肝心です。
大きなサイクルとして1年が寺院行事や事務の節目でしょうから、1年間使えば、各種文章や寺務に関するデータは一通り作成されると思います。結果、これらがデータ資産となります。2年目以降はデータ資産をもとに活用を広げていければいいですね。
最初はあまり欲張らず、文書作成とインターネットから始めましょう。慣れていけば、パソコン雑誌を買って情報知識を収集し、パソコンでできるいろいろなことに興味が沸くようになるとともに、自然とテクニックも身に付くようになるはずです。
人間には経験と知恵と工夫がありますから。

余談ですが、パソコンを持っていない方(持っている方もですが)で、パソコンに対して"難しい"というイメージが先行されている方がいらっしゃいます。逆に"簡単にできる"、"何でもできる"、"万能"という先入観といいますか、そういった思いこみをされている方もたまにいらっしゃいます。結論的には、「難しい側面もいろいろと持ち合わせるが、実にいろいろなことができる」と思います。ただし、パソコンの世界においては、「できる」という表現が多くなりがちです。カタログ表記や雑誌の紹介もしかり、実は本稿でも「できる」的表現が約40箇所あります。「できる」ということは、裏を返せば「しないとできない」ということで、「できる」という表現は限りなく「できない」という危険性を含んでいるわけですから、パソコン操作において、ある程度の努力と慣れというものは必要です。パソコンは今のところ、人が考え、操作して初めて能力を発揮する機械だということをお忘れなく!。「自分はこれをやりたい、やるんだ」という目的意識をしっかりと持って頑張りましょう!。

さて、上記のうち、(1)〜(5)はインターネットに接続するかどうかに関係なくできる、従来型の利用法です。過去に作成したデータやパターン化したものは一部分を変更しただけで使えたり、応用可変することができます。データはコピーが容易なので、元データがあれば気兼ねなく変更を試すこともできるでしょう。さらに、画像系では、素材集やソフトウエアの力を借りて特殊効果をかけ、デザイナー顔負け、あっと驚くような不思議&神秘的作品に仕上げることも可能です。
(6)以降は外部からの情報を利用するもので、インターネットがその中心的役割を果たしています。要は、自分でデータを作成するのか(前者)、インターネットを介して自分のパソコンの中にデータが溜められるのか(後者)の違いでしょう。
私はNTTのフレッツISDNに加入していますので、64000bps(※9)とお世辞でも速くないですが、月々の電話代が固定でインターネットに接続が可能です。「ちょっと、調べもの」「この言葉の意味は?」「最新ニュースは?」と些細なことでも即座に調べることができ、マルチ辞書みたいで大変便利です。よって、フレッツISDN加入前と比べて、メールチェックの回数が増えたり、パソコンの電源を入れておく時間が長くなったように思います。また、3分10円単位で電話代を気にしなくて良いことも精神衛生的に気楽です。お陰でインターネットしている時間が増えたのも事実ですが・・・(笑・少しでも元をとらねば!)。
例えば、お寺に檀家さんがお越しになって、質問を受けたとしましょう。書籍を調べてを答えるもよし、ノートパソコンからインターネットに接続して、「ハイどうぞご覧ください」。こちらのちょっぴりカッコイイですかね(笑)。必要ならばホームページを印刷して差し上げたら、きっと喜ばれるでしょう。
なお、自分が作成したオリジナルデータは世界に一つしかありません。常々バックアップつまりデータの複製を心がけておくことが大切です。皆さんは「大容量のハードディスクにデータを保存しているから大丈夫!・・・」と思っていませんか?。バックアップとは、具体的にはフロッピーディスク、MOディスク、CD-R・CD-RWディスク等でパソコンのハードディスクの外に確保するわけです。人によっては別のハードディスクにバックアップしている方もいるかもしれません。
バックアップが必要な理由は、1.データ自体が何らかの原因で壊れてしまう、2.パソコンのシステム(OSという基本ソフト)不調で起動しないまたは起動しても挙動がおかしい、3.パソコン自体の機械的故障、ということが起こりうるからです。データは機械を通してでないと我々は中味を確認することができませんよね。逆にいえば、ハードディスクはデータを保管する円盤部分と機械が一体となったものですから、円盤部分または機械部分のどちらかが調子が悪くなると読み書きできなくなります。つまり、データ保持の観点からは、ハードディスクはある意味不安な要素を持っているということです。データの複製(バックアップ)をしていた場合、パソコンのハードディスクのデータと外に確保したデータが両方同時に使えなくなるという確率は極めて低いものです。
1.の場合はバックアップデータを復旧すればOKです。2.の場合はパソコンも再セットアップ(OSの入れ直し)で対処します。ただし、OS(基本ソフト)の入っていたドライブのデータは一旦消去されますので要注意です。再セットアップ完了後に、ソフトウエアや周辺機器ドライバをインストールし、バックアップデータを復旧するという手順になります。3.の場合はメーカー修理しかありません。
「苦労して積み上げて作成してきたデータが壊れた、大ショック!」というのは珍しいことではありません。また、これらを再構築するのは気が遠くなる話で、「備えあれば憂いなし」の格言はパソコンの場合にもあてはまります。
先に触れましたが、各自治体で実施されている「IT講習会」は大変お得&充実しています。パソコン超初心者でも大丈夫!、是非ご住職&寺族の方々には、インターネットの楽しみを知るきっかけをつかんでいただきたいと思います。その際、せっかくIT講習会を受講したとしても、その後で使えるパソコンがないと勉強内容を生かすことができません。自宅で復習できる環境がある方が望ましいでしょう。教習所で自動車運転について勉強して、いざ運転免許証は手に入れたけど、車を運転しなかったらペーパードライバーとなるのと似ていますね。

■インターネットと仏教・宗教
今から千二百年前、宗祖伝教大師は命がけで中国に渡り、得難い経論を手に入れて帰国され、現在に至るまで連綿とその教えは人と人との心を通じて伝えられ、受け継がれて来ました。インターネットは、そうした仏教の教え、宗祖の教えを、現代の不特定多数の人々に訴え、問いかける力を持っています。E-mailや掲示板・チャットは情報交換や相互理解というコミュニケーションのために大変有効な手段で、様々な可能性を内包していると思います。
それは何故か!?。コンピュータが進化しても、どんなハイテクでも、それを扱うのは人間です。確かに顔が見えない場合もありますが、パソコンや携帯電話の画面の向こう側には、まぎれもなく人がいるからに他なりません。
ただし、寺院活動の現状では、インフラ(環境整備)が不十分です。お寺の行事に積極的に参加いただけるのは比較的年輩の方が多く、パソコンをあまりやっていないでしょう。
例えば、仮に住職サイドが寺報としてメールマガジンを発行しようとした場合、送信先の相手がいないと双方向性通信は成り立ちません。現状では、インターネットに参加できる有縁の檀信徒がはたしてどれくらいいるか未知数です。
したがって、檀信徒と直接的には、寺報の発行や行事の案内【郵送】、相互連絡【電話・FAX】に続く第3番目に位置する手段となり、現状ではまだまだ限定されます。結局、今のところ、メール交換できる一部の檀信徒との相互通信と、ホームページ開設寺院においては、ホームページに訪れてくださることにより、檀信徒はもとより、今までそのお寺と無縁だった不特定多数の人々に対して有効だといえそうです。
しかし、寺院活動の現状において、普段接する檀信徒は年輩の方が比較的多いからといって、このIT社会の変化に対して、無防備・無方策でいいのでしょうか。5年先、10年先を見据えて対応する必要があります。檀信徒も世代交代をするからであり、将来的にITを介したニーズが増えることが予想されるからです。
IT社会が進展する近未来には、次のような社会像が描かれています。(1)(2)(7)は原則として24時間いつでも大丈夫でしょう。
(1)自宅や職場にいながら、政府や役所の各種手続、証書発行、税金申告、納付などが可能となる(選挙も在宅で投票できるようになるのでしょうか?、本人の確認の問題があるから投票所で端末を使った電子投票が現実的か!?)。
(2)法令、白書などの行政情報を閲覧、取得ができる。また、文化財、美術品などの情報データベースにアクセスできる。
(3)在宅で各種相談やサービスを受けられる。電子カルテが導入され、病院から遠くても、診療や助言を受けることができる。
(4)長距離通勤をせずとも、ネットワークによって職場と通じ、在宅や希望する場所で希望する仕事をすることができる。
(5)企業規模に関係なく、世界中の会社や人々と取引できる。
(6)離れた家族や友人と、音声のみならず映像を通じてコミュニケーションを図ることができる。
(7)主要道路の道路交通情報(渋滞情報)がほぼリアルタイムでインターネット技術を利用したカーナビゲーションでわかる。
お寺と人々の関わりにおいて、これらの例が当てはめられたり、置き換えられる部分がかなりあると思います。
しかしながら、IT技術と余り縁のない方も当然まだまだ大勢いるわけで、従来の方法が決してなくなるわけではありません。むしろ従来の方法に加えて、選択肢が増えると考えるべきです(複雑になっていくということかもしれませんが、笑)。
在宅で、特定の場所で、いろいろなことができるようになるということはIT化の最大のメリットであるとともに、裏返しのデメリットも考えられます。つまり、少し残念なことは、人と人とが肌で直接触れあい、対話する機会が減ってしまうことです。人との触れ合いの希薄が危惧されるからこそ、IT時代において宗教、仏教、宗教者、住職がその役割を十分に果たすべきなのだと思います。
四国の天台宗寺院でホームページを開設しているのは、平成13年4月現在、妙法寺、西法寺、光蔵寺の3か寺です。また、比叡山延暦寺、一隅を照らす運動総本部、天台宗典編纂所、天台宗九州西教区、天台仏教青年連盟をはじめ、全国の天台寺院において、すでにホームページが開設されている数はおよそ50か所以上にのぼり、各ホームページそれぞれ特徴があります。今後もますます増えていくことが予想され(四国天台仏青HPのリンク集参照)、天台宗関係以外にも、実に様々なホームページが公開されています。
寺院コムホームページは仏教関係の一大リンク集が掲載されており、宗教別、宗派別、地域別、寺院経営、学校等のジャンルに分類されています。こちらをご覧いただければ、インターネットと仏教の現状がよくわかると思います。さらに当ホームページ内の仏教宗教リンク集から宗教情報ページに行けるようになっています。
インターネットと宗教については、宗派や教義を社会に広めるという点で、檀信徒の皆様はもとより、不特定多数の人々の対して布教教化及び広報PRの大変有効な手段です。さらに他の有縁ホームページにリンクが張られていることで、そこから縁も生まれているのです。
四国と言えば「お大師さま」(弘法大師空海)と言われるように、四国では天台宗(伝教大師最澄)はどちらかといえば数少ない宗派ですが、インターネットに国境も宗派の違いも距離のハンデもありません。妙法寺ホームページを通じて、人と人とを結び、少しでも多くの人に仏教の教え、天台の教えについて知っていただければ有り難く存じます。また、妙法寺ホームページには掲示板を設置し、E-mailアドレスも掲載しており、情報交換や意見交換のための双方向性を確保しています。ご質問等をいただくことで自分の勉強にもなりますので、お気軽にどうぞよろしくお願いいたします。本稿は諸般の事情で当初計画よりも掲載時期が遅れてしまいました。意のあるところをお汲み取りいただき、有縁の皆様よりのご意見、ご感想、ご指導をよろしくお願い申し上げます。合掌。

平成13(2001)年5月8日 Webmaster



※1 IT=Information Technology(インフォメーションテクノロジーの略)
情報通信技術の意味。具体的には、大型コンピュータからパソコン、携帯電話まで含めたハードウェア。それらのコンピュータで使うソフトウェア。あるいは、それらを組み合わせてシステムを構築すること。それと、情報通信の技術や設備など。さらに、こうした技術を使うノウハウまで含むことが多い。
※2 ダウンロード
ホストコンピューターやサーバーから手元のパソコンに、ソフトやデータを引き出すこと。なお、MP3はデジタル化された音楽(音声)データを圧縮する技術のひとつ。MPEGという映像を圧縮する規格があって、この音声部分を使っている。MP3は、MPEG Audio Layer 3の略。音質は、音楽CDと同レベルか近いレベル(曲による)。しかもデータが軽い(圧縮されているため容量が少ない)ので、インターネットで配布するのにも適している。
※3 日本政府のIT政策についてはhttp://www.kantei.go.jp/jp/it/index.htmlを参照ください。
※4 LAN=Local Area Network(ローカルエリアネットワークの略)
同一建物内で複数のコンピュータやプリンタなどが相互接続されたコンピュータネットワークの総称。
※5 デジタルデバイド(情報格差)
パソコンやインターネットといったデジタル技術を使いこなせるか使いこなせないか、あるいは普及しているか普及していないか、そういった違いによって生活の質に大きな差が生まれる問題。インターネットを使える人は有益な情報をたくさん得られるが、使えない人はどんどん情報から遠ざかっていく。そうすると、ますます格差が広がっていく。個人間の問題だけでなくて、インターネットが普及している国と普及が遅れている国との格差も大きくなってくる。
※6 ブロードバンド(Broadband)
大量のデータを送受信できる伝送路(回線)が広帯域の回線。具体的には、光ファイバーやADSLやCATVなど。
※7 シェアウエア、フリーウエア
シェアウェアは、試しに使ってみて「気に入ったから使い続けたい、という場合は多少のお金を払って」というソフトウエア。「自分には必要ない、使わない」という場合は、パソコンから削除(アンインストール)すれば代金を払わなくていい。使い続ける場合は、指定されている金額(普通は数百円から数千円)を作者に送る必要がある。一方、無料で使ってもいいという、ありがたいソフトもある。これを、フリーウェアとかフリーソフトという。シェアウエア、フリーウエアともに、パソコン雑誌の付録CD-ROMに入っている場合も多い。
※8 梵字フォントのリンク
○阿闍梨の電脳亜空間 http://www01.u-page.so-net.ne.jp/db3/ajari/
○UniUni X http://plaza.harmonix.ne.jp/~kokura/main/font/font.html
○CHIEHOU ver.03 http://www.index.co.jp/chiehou/
○南河内考古学研究所 http://www2.justnet.ne.jp/~ogami/library/bonji.html
○ナモの寺 http://www.ne.jp/asahi/choonji/namo/
※9 bps(bit per secondの略)
1秒間にどのくらいのデータを送ったり受け取ったりできるかを表す通信速度の単位。数字が大きいほど画面表示も速く、ソフトなどをダウンロードするときも速くて快適。なお、bitとはコンピューターにとって最も基本となる単位。「0か1か」という情報ひとつが1ビット(bit)で、それを8桁にしたもの、つまり8ビットで1バイトという単位になる。
各回線のデータ転送速度比較は図(日経ネットニュースより)を参照ください。


2001.05.23版